大貫伸樹の書物楽会

2006-10-13杉浦非水の植物木版画挿入『四季の趣味』

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杉浦非水には『非水百花譜 第二輯』(春陽堂 、昭和4年)等の植物画集があるように、日本画風の植物画を得意としている。それもそのはず、非水は黒田清輝に出会うまでは日本画を勉強していたのだから。

モダンデザインに旗手といわれた非水のもう一面を見る思いがするので、どことなく鑑賞する者に肩肘張らずにリラックスしているような安堵感を与えてくれる雰囲気が漂っているのがいい。

鳥野幸次『四季の趣味』(文友社、大正15年3月再版、初版は15年1月発行)は、そんな非水の手摺の多色摺り木版植物画が4点も挿入されている豪華な本だ。

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気分が良かったのか、趣味があっていたのか、扉にも「春」「夏」「秋」「冬」それぞれの挿絵を描いている。大正15年といえば非水の装丁でよく知られている円本全集のブームを作るきっかけとなった『現代日本文学全集』が改造社から発売される年である。大正12年に仏蘭西留学したが、関東大震災の知らせを受けて帰国するが、アールデコ調を取り入れた装丁をするのもこの頃からだ。

応用美術と言われる受注生産のデザインから離れて、版画を作るのは非水にとっても気持ちのいい仕事であったのではないだろうか。実際に版画を彫ったり摺ったりしたのは非水ではないと思うが、彫師、摺師の名前は分らない。f:id:shinju-oonuki:20061014034256j:image

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