大貫伸樹の書物楽会

2006-03-23装丁探索その135(櫻井書店)

shinju-oonuki20060323

長谷川利行装丁の佐藤春夫『わが妹の記』は、本当にあるのか?

以前、架蔵書の佐藤春夫『わが妹の記』(櫻井書店、昭和16年3月)は織田一麿の装丁であるが、松本八郎「櫻井書店の櫻井均」(『加能作次郎三冊の遺著』スムース文庫、2005)には、「佐藤春夫の『わが妹の記』は櫻井書店からの発行で(一九四一年三月)、この表紙の装画には長谷川利行の絵が使われている。」とあるので、長谷川利行が装丁したと言われるこの本を、あるいはこの本の装丁にまつわる文献がないものかと探していた。

だれかご存知ありませんか?

先週、古書市で矢野文夫『長谷川利行』(美術出版社、昭和49年)をみつけ、読んで見たが、櫻井均『奈落の作者』(文治堂、昭和53年)に掲載されているのと同じ「長谷川利行の通夜」が掲載されていただけで、異装本があるのかどうかについては触れてはない。『加能作次郎三冊の遺著』に写真を掲載してくれていれば問題は解決なのだが……。

同じ通夜のはずなのに? 

しかし、面白い話も書いてあった。「天城と櫻井均氏」(矢野文夫『長谷川利行』)には、天城が書いた「故人追想」(『利行画集』)の通夜の夜の記載が、櫻井が書いた通夜の夜の話と全く違う内容になっているらしく、興味が湧いた。

この断言もすごいですな。 

この不可解な話について、矢野文夫は、天城俊彦には「性格破産者的な一面があり……」として、「天城の文章はフィクションなのである。」と断じている。

写真は矢野文夫『長谷川利行』(美術出版社、昭和49年)。

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