大貫伸樹の書物楽会

2006-02-16装丁探索其の117(「カルバドスの唇」「手袋」)

shinju-oonuki20060216

吉原治良の装丁、東郷青児『カルバドスの唇』(昭森社、昭和11年10月初版)

先月、中京大学で「文字が演じる書物の表情」という公開講演をやって来た。丁度その時、大学の近くにある愛知県美術館で『生誕100年記念 吉原治良(よしはら じろう)展」をやっていたので、甘露純規先生の案内で鑑賞することが出来た。

 

吉原治良といっても、作品さえも分らない人が多いのではないかと思うが、そういう私も東郷青児『カルバドスの唇』(昭森社、昭和11年)、東郷青児『手袋』(昭森社、昭和11年6月)の装丁者としてしか知らなかった。

 

他にも装丁があるのではないかと期待していたが、吉原治良『スイゾクカン』(四美術社、昭和7年)、シズリ・ハドルストン『パリの芸術家たち』(昭森社、1942年)などしかみることができなかった。

 

吉原治良略年譜。植物油屋「吉原商店」に生まれる。関西学院の美術クラブ「弦月会」に入会、「兵庫県学生美術展」開催を提案、開催に奔走する。23歳の時に大阪旭開館で吉原治良油絵個人展覧会を開催。関西学院研究科を退学し、父が経営する吉原定次郎商店に入社。24才、西宮今津工場の工場長として勤務し、工場内にアトリエを構える。

29才、藤田嗣治の勧めで二科展に出品し、5点全てが入選する。

31才の時に東郷青児の2冊の本『カルバドスの唇』『手袋』の装丁手がける。

32才(昭和12年)二科展で特待賞を受賞。

33さい、二科展回遊に推挙。二科会の前衛画家による「九室会」結成に参加、会員となる。

36才、吉原製油株式会社取締役に就任。

 

写真上は、おしゃれな「カルバドスの唇の検印紙」制作者は不明。写真下は前衛的な『カルバドスの唇』表紙。 

f:id:shinju-oonuki:20060216170313j:image

トラックバック - http://syomotsugakkai.g.hatena.ne.jp/shinju-oonuki/20060216