大貫伸樹の書物楽会

2006-02-13装丁探索其の117(「人間結婚式」「特志解剖」)

shinju-oonuki2006-02-13

安価な蒐書で、装丁史を!

 

これが私のモットーで、今回も正木不如丘『特志解剖』(春陽堂、大正14年7月初版)は300円で購入。エドワード・ウエスターマーク『人間結婚式』(啓明社、昭和5年初版)は500円で購入した。

 

決して安く購入したことを自慢しようとしているわけではなく、この2冊ともに、装丁家は分らないが、この人間を図案化したモダンな表現が気に入ったのだ。

 

私家版や特装本などで個性的な装丁をするならまだしも、誰でもが容易く購入できる価格の本で版元装丁という条件の中でのこの装丁は、このような表現が市民権を得ているという証なのである。

抽象表現は関東大震災の後にはすぐにポピュラーな表現に!

 

恩地孝四郎は、非絵画的表現の装丁を標榜しながらも、なかなかそんな装丁をさせてもらえなかった、と、嘆きながら自費出版の『感情』第2年 第5月号「ある詩人の肖像」や第2年11月号の「女体習作」(感情詩社、大正6年5月) 表紙画等のように実験的な装丁をして、抽象絵画での出番をうかがっていた。が、大正14年に刊行された『特志解剖』では、そんな恩地の心配をよそに、堂々と抽象的な表現の装丁が行われていた。

  

関東大震災のあとに、このような表現が装丁にも急激に現われたとする私の持論を後押ししてくれるうれしい装丁である。

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